09
「このポンコツ!!」
「あ、こら!蹴るな!!」
エンジンがすっかりダメになってしまい、只今修理中(セネルが)。
海の治安を守るマリントルーパーって、船のことならおまかせを!!なのかしら。
普通の人間は燃えるエンジンを見て、動揺するか混乱するぐらいしかできないっていうのに。
ちょっと見直したり。
それでも。
それでも、このエンジンが壊れたせいで愛しのジェイと離れ離れなになってしまったことには変わりがない。
そのため、このエンジンが憎くて憎くてしょうがない!
アホ!もうちょっとだったのに・・・・・・っ!
「ちょっとちゃん、せっかくセネルくんが直してるのに意味ないじゃない」
「・・・・・・・そもそも、ハティエットがこんなおんぼろ借りるのがいけないんじゃない・・・(ぼそっ)」
「ハリエットよ!―――なによ、せっかく借りてあげたのに文句でもあるわけ?」
そう言われ、私は何も言い返せなくなった。
そう。このおんぼろ船は彼女、ハティ・・・・・ハリエットがあのオヤジから金を出して借りたものらしい。
彼女はこのエンジンが壊れるまで、ずっと隠れていたっぽい。
エンジンが壊れた!と騒ぐ私達の所へ、突然現れた。
ハリエットというのはセネルの知り合いのようで。
この船の運転手に彼を選んだのもハティ。
だからあのオヤジは私達に話しかけてきたんだ。
でも、この子の目的がわからない。
「金出してくれたことには感謝するけど、ハティは何の用があったの?」
「!・・・・・・・そ、そんなこといいでしょ!」
私の質問に明らかに動揺しているハティ。
視線をずらし、彼女は俯いた。
「・・・・・・・・・・・あ!」
「な、なによ・・・・・・」
「さてはマイハニーが目的ね!?」
「まいはにー・・・?」
「が勝手に思い込んでるだけ〜。相手はすんごい迷惑してたし」
「つまり、勘違いね?」
「そ〜ゆ〜こと」
「そこ!丸聞こえだから!」
ひそひそ話しをしているはずなのに、彼女達はわざと大きな声で私を見ながらそう言った。
「―――よし」
ずっとエンジンの修理をしていたセネルが、そう呟いて立ち上がる。
そして手についた汚れを落としながら、私達の方へ振り返った。
「とりあえず応急処置は済ませた。これなら少しはもつだろ」
「まじで!?セネル大好き!」
「っ!?/////」
これでやっとジェイに追いつける!
そう思ったら嬉しくて、エンジンを修理してくれたセネルに抱きついた。
よくやった!そういう意味で。
その様子を見ていたノーマが、ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「あ〜!浮気現場目撃!さっきの少年に言っちゃおうかな〜?」
「もちろんハニーの次にだけど!」
「お、おい・・・・離れろ!気持ち悪いっ!/////」
「そう言ってる割には、セネセネの顔赤いよ〜?(ニヤニヤ)」
「セネルくん顔赤いわよ」
「えっ!?まじでまじで!?」
セネルの顔が赤い!?
そう2人が連呼するものだから、私は勢いよくセネルから離れ赤い顔を拝もうとする。
だけど、その瞬間セネルが顔をずらしたので見れなかった。
「ちょ、こっち向いてよ!」
「それより、早くあいつら追うんだろ!」
「あっ!そうだった。おら!さっさと追いかけろセネル!」
「あのな」
セネルが顔を赤く染めたのも見たいけど、やっぱりジェイには敵わない。
早くジェイに会いたい。
早くジェイに抱きつきたい!
つまり私の優先順位は
セネルの赤面<ジェイ
みたいな感じ。
私の命令口調に気に食わないような顔をしつつも、セネルは再び舵を握った。
+++++++
「ハニーーーーーーーwwww」
「うっわ。なんでこんな所までついてこれるんですか・・・・・・・ん?、ポッポ?なんで変態なんかと・・・・ってうわあっ!?」
波に揺られつつ、対岸に辿り着いた私達。
そのまま道なりに進んでいって、途中キュッポたちの弟・ポッポを拾ったり、ポッポ二世号(潜水艦)をぶっ壊したというヤギを倒しながらやっとのことでジェイに追いついた。
その場にはジェイとウィル、そしてクロエと、たくさんのモフモフが!
私達はそのモフモフの数に驚き、ジェイは私達と一緒にいるポッポを見て驚いているようだった。
ジェイの姿が見えた途端、私は勢いよくジェイに抱きつく。
予想外の登場に、ジェイは避けられないまま私の腕の中にすっぽり収まった。
「これよ・・・・!これがしたかったの!(スリスリスリスリ)」
「ちょ、抱きつかないでください!」
「あ〜予想通り素敵な香り・・・・・・v」
「人の臭い嗅ぐのはやめてくださいよ!変態ですかあなたは!?」
ジェイにスリスリする私。
それが余程嫌なのか、ジェイは物凄い力で離れようとする。
その力が案外強い。こんな白くてほっそい腕のどこにそんな力があるのか。
だけど甘いわ!
私の力はそれ以上で、ジェイを決して離さない。
「・・・・っ・・・・あなた、本当に女性ですか・・・!?」
「ふふふ。これぞ萌えの力!」
「あ、さんだキュー!」
そんな私達に構うことなく、会話を進めるセネルたち。
お前とは行動する気はないだの。なんだの。
そんなことを言い合っている。
そんな時だった。
地下道で会った、キュッポとピッポがやって来た。
私はそのままジェイを離すことなく、キュッポたちに笑顔を向ける。
「久しぶり〜」
「久しぶりだキュ!」
「モフモフ族の村に来てくれたキュ?」
「・・・・・・・・キュッポたち、この変態と知り合いなの?」
「この変態とか言うな」
「そうだキュ!」
「前にピッポたちを助けてくれたキュ!」
親しげに挨拶をする私とモフモフに、ジェイは驚いたように問いかけた。
つーか、いつの間にかジェイの私の呼び方が「変質者さん」から「変態」になってる・・・!!悪化してる!!(自業自得)
+++++++
「―――キュッポたちがお世話になったようで。皆さん、ありがとうございました」
「いや、こっちも色々と世話になったからな。礼を言われることでもない」
キュッポたち、そしてポッポを私達が助けたと知ると、ジェイは深々と頭を下げながら礼を言った。
そんなジェイの周りにはキュッポたちが「キュキュー!」と言っている。ああもう!可愛いんだからっ!
ちなみに、さっきまでいたモフモフたちは先にモフモフ族の村へ帰っていった。
あとでたっぷりモフモフしてやる。
ジェイの礼にウィルがそう答えると、みんなも頷いた。
ウィルと同じ意見らしい。
そんな彼らを見て、ジェイは軽く微笑む。
「・・・・・・・・で、あなたはいつまで僕に引っ付いてるつもりですか?」
みんなに向けた笑顔は微塵も見せず、眉間に皺を寄せてジェイは私の方へ振り返る。
そう。私はいまだにジェイの腕に引っ付いたままでいた。
抱きつく形じゃあみんなと会話しにくいという、私の優しい配慮なのに。
腕を組むのも気に入らないらしい。
「ずっと」
「あなたねぇ・・・・・・少しは人の迷惑考えてから行動してくださいよ」
「誰にも迷惑かけてないじゃない」
「僕にかけてます!!」(怒
「・・・・・・あれが、ちゃんが言ってたハニー?」
「そーだよ」
「本当ね・・・・・物凄く嫌がってる」
私達の方を見ながらこんな会話をしているノーマとハティの方へ、ひとりウィルが近づいた。
彼の視線はノーマの方ではなく、その隣にいる小さな女の子。
ウィルと目が合うと、ハティはポッポの方へと駆け寄った。
「ポッポくん、行こ!」
「キュ?」
「早く!」
「あ、おい!」
ウィルの呼び止める声を無視し、ハティはポッポを連れてモフモフの村へと走っていった。
彼女の後姿を見て、ウィルは溜息をつく。
ウィルのそんな様子を見ながら、ジェイは言った。
「ポッポと一緒ですから大丈夫ですよ」
「ポッポって強いの?」
「まあ、あなたよりは強いんじゃないですか?」
「失礼ね!私、みんなに強いって言われてるんだけど」
ジェイの言葉に反抗し、みんなに「ねっ」と同意を求める。
みんなは「確かに強いよな」と口々に言ってていた。
彼らの反応を見て、ジェイは顎に手を当てながら「へぇ・・・」と呟く。
もうどうでもいいのか、彼は私が引っ付いているのをはがそうとすることは止めていた。
「・・・・・・後でゆっくり話を聞かせてもらいましょうか」
「ハニーと一緒なら、一年かけて語ってもいいよ!」
「僕が嫌なので手短にお願いします。―――それじゃあ、とりあえずモフモフ族の村へと行きましょう」
私の台詞に笑顔で返してから、ジェイはそう言って歩き出す。
しかし、ウィルがそれを止めた。
「きみは、何者なんだ?」
それはみんなも同じようで。
それぞれ不思議そうな表情を浮かべている。
彼は一体何者なのか?
そんなみんなを見てから、隣にいるジェイへと視線を移す。
彼は口の端を上げ、くるっと彼らの方に振り返った。
「・・・・・・・・僕のことを、あなた方は既にご存知だと思いますけどね?」
「ま、まさか・・・・きみが・・・?」
ジェイの意味深なその言葉に、ウィルははっとしたように呟いた。
それに続くように、他のみんなも次々に気づき始める。
彼らを見てから、ジェイは笑みを浮かべた。
「そうです、僕がジェイです。―――初めまして」
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ポッポとの出会いを省いちゃいました。
だって特に重要なイベントでもないんだもん(爆)