06
「でさー、黒髪ロン毛でこう・・・頭の上に束ねてて、色白のかっわいい少年見たことない?」
「黒髪ロン毛の色白少年〜?ん〜・・・見たことない」
「そっか・・・・」
「その少年というのは、誰なんだ?」
「灯台の街で会ったの。そう、あれは運命とも呼べる出会いだったわ・・・・・・っ!!」
「へぇ〜」
「興味なさそうな声で返事しない」
じょーだんだよ。
そう言ってノーマは笑った。
彼女の名前はノーマ・・・・・・・なんとかって名前らしい(忘れた)。
トレジャーハンターだと彼女は言っていた。
それが何なのかはよくわからなかったけど、まぁ・・・お宝を探すんだろう。クリスタラチュラの時もお宝目当てに巣に入って返り討ちにあったらしいし。
ここ、遺跡船の色んな所を巡っていると言ったので、ジェイのことを聞いてみた。もちろん名前は伏せて、特徴だけを言って。
色んな所に行ったことのあるノーマなら、ジェイに会った事があるかもしれない。
そう思ったけど、その予想は外れてしまった。
もう一度、もう一度会って、あの細い身体をぎゅ〜って抱きしめたい!
きっといい香りがするんだろうな・・・・・うへへ!!
「がそこまで会いたい美少年か〜。あたしも会ってみたいな」
「絶対会った方がいいって!癒されるよ〜」
癒される、というよりは「萌える」だけど。
美少年の話で盛り上がる私達に、クロエは苦笑していた。
こういう会話は慣れてないのかも。
「とにかく会いたい!シャーリィを助け出したら、今度はあの少年を探すわ」
「やめてやれよ・・・・・・」
唯一ジェイのことを知っているセネルが、そうボソッと呟いた。
「なんでよ」
「あいつが可哀想だろ。あの時怯えてたし」
「なんだ。お前また猥褻行為をするつもりか?それじゃあ帰ったらまた檻の中に・・・・・・・」
「ちょーっと、それはないでしょうよ!」
私とセネルの会話に、更にウィルが割り込んでくる。
灯台の街での出来事を知らないノーマとクロエは、猥褻行為?と首を傾げていた。
「ってば、なんかしちゃったの〜?」
「してないしてない!」
「しかし、さっきレイナードが”また檻の中に”と言っていたぞ?」
「あー確かに檻に入ったけど・・・・・・」
「やっぱり・・・・・・・」
「違うって!あれはなんていうか・・・・・ねぇセネル!」
「が少年に猥褻行為をしたから檻に入れられたんだ」
「ちょーっと!ここは普通フォローするとこでしょうが!!」
「俺には嘘をつくことなんてできない・・・・・・っ!」
「なに”く・・・っ!”みたいな感じに言ってんの!?」
私達の会話に対して笑うノーマたち。
そんな!いつ笑う要素が?
「みんなして何笑ってんのよ」
「だ〜って、とセネセネの会話ってリズムよくて笑えるんだもん」
「まるで漫才だな」
「漫才か〜、あ、夫婦漫才みたいな感じ?」
「ちっがーう!!・・・・・・・・・ってちょっとちょっと、何頬を赤らめてるのセネル!?ついでにウィルも魔物の観察なんかしてないでさっさと進め!!」
夫婦漫才という単語に頬を赤く染めるセネル。
ちょっと、目を逸らすな。目を。
いつもはしっかりしているウィルも、魔物がうじゃうじゃいて嬉しいのかさっきから観察ばかりしているし!
ノーマは相変わらず笑ってるし。
頼りのクロエまでもがのほほんと眺めてるし。
ああもうツッコミきれない!
だいたい、私はツッコミじゃなくてボケ専門・・・・・・・・・
「あ!男が空飛んでる!!」
ノーマのこんな声で、私の思考は途切れた。
今までふざけていた(失礼)みんなも、ノーマの声に武器を構える。
彼女の示す先には、確かに湖で見た男が空を飛んでいた。
男は私達の存在に気づくと、ゆっくりと降りてきてシャーリィを安全な場所へと置いておく。
シャーリィは気を失っているようだった。
「シャーリィのファンクラブ会長め!セネルの大事な妹という名のお姫様を返せ!」
「そーだそーだ!」
「誰がファンクラブ会長だ!勝手に変な呼び方するな!!」
「(無視)ちょっとセネル、私の言葉に賛成するんじゃなくて、自分でもなんか言いなさいよ!」
「シャーリィを返せ!」
「無視かーーーーーー!!!!」(怒
彼を無視して会話を進めたことに気に食わないのか、男は殺気立った。
その殺気は鋭く、まるで憎しみを込めているようで・・・・・
「そんな・・・・・いくら無視されて悲しかったからって、そこまで怒る事・・・・・・」
「いや、。ちょ〜っと違うみたいよ」
「え?」
ノーマに言われ、男を見る。
どうやらその殺気は・・・・・・多少私に向いている気もするけど、セネルへ向かっていた。
セネルも負けじと睨み返す。
「貴様に・・・・・貴様にそんなことを言う資格などない!!」
「!」
なんのことだかサッパリだけど、男はそう言うとセネルへと攻撃を繰り出した。
セネルは素早く反応し、攻撃を避ける。
が、避ける事は予想していたようで、男はすでに次の攻撃を仕掛けていた。
今度は上手く避ける事が出来ず、セネルは腕に小さな傷を負う。
私達もいつもの様に戦闘態勢に入り、それぞれの攻撃をする。
セネルとクロエは前衛で足止めをし、ノーマとウィルは後衛で詠唱を唱える。
私は真ん中で物理攻撃をしたり、たまに晶術を使って回復したりとサポート役にまわる。
「・・・・・・く・・・・・っ」
さすがに5対1はキツイのか、男の表情がだんだんと険しくなってきた。
あともう少し。
そんな時だった。
大きな地震が起きて、シャーリィが横たわっているすぐ横の柱が崩れだした。
「!シャーリィ!!」
セネルもそれに気づいたのか、シャーリィの方へと駆け寄る。
しかしそれよりも先に、あの男が駆けつけ、シャーリィを庇うように下敷きになった。
柱が崩れた反動で、辺りには土煙が立つ。
「シャーリィを庇っただと?」
「そんな・・・・・・」
セネルは「信じられない」という目で、ただ崩れた柱を見つめた。
+++++++
暫く経った頃。
未だに目覚めないシャーリィを見つめていると、急に倒れていた柱が動き出す。
と同時に、柱は粉々に砕け、中からはあの男が出てきた。
「は、柱から生まれた、柱太郎・・・・・・?」
男が出てきた様子から、思わずある昔話を思い出す。
「えぇ〜!?生きてたの?」
柱に埋もれたにも関わらず生きていた彼に、ノーマは驚きの声を上げた。
しぶといやつめ。
そう思って武器を構えるも、彼の様子がおかしい。
苦しそうに顔を歪め、息は荒かった。
・・・・・・・・・・・・その姿にちょっと萌えたのはまた別の話。
「・・・・・・くっ」
彼は苦しそうに声を上げ、背中に翼が現れるとそのまま空を飛んで去っていった。
どうやらシャーリィのことは諦めてくれたらしい。
よかった。さっきはなんとか優勢だったけど、彼はすごく強い。
体力もあまり残っていないし、もう一度戦闘になったら勝てなかったかもしれない。
ほっと安堵の息を漏らした途端、後ろの方からノーマが大声を上げる。
「大変〜!大変だってば!!」
「どうした、ノーマ」
「さっきの地震で、来た道塞がっちゃったよ〜」
「えっ!」
ほら〜!
そう指さす先には、私達が来た道。
その道が無数の瓦礫によって塞がれてしまった光景だった。
これでは来た道を戻ることができない。
「ちょっとちょっと、まさか生き埋め!?」
「えぇ〜!?そんなのやだぁ!!」
「・・・・・・・・う・・・ん・・・」
「!シャーリィ!!」
「おにい、ちゃん・・・?」
私とノーマの騒ぐ声がうるさかったのか、ずっと目を覚まさなかったシャーリィがすっと目を開けた。
シャーリィが目を覚ましたのと同時に、セネルはシャーリィに駆け寄る。
さすがお兄ちゃんという名の王子様。
シャーリィはゆっくりと身体を起こし、辺りを見回す。
「あの・・・・・・みなさんは?」
「あなたのお兄ちゃんの仲間です」
周りにいる見知らぬメンバーに、シャーリィは驚きの表情を見せる。
彼女の質問に、私が代表で答えると、「その声・・・」とシャーリィは呟いた。
私の声?
「どうかした?」
「あなた・・・あの時、お兄ちゃんを止めてくれた人ですよね?」
「あの時??」
「山賊のアジトでの時じゃないか?」
「ああ!」
いつの時だかわからない私に、クロエは耳打ちをする。
そういえばそんなこともあったような・・・・・・。
「あの時はありがとうございました」
「いえいえ、あれはシャーリィの鶴の一声のおかげよ」
「でも、私が言う前にあなたが言ってくれたからお兄ちゃんの怪我は軽く済んだんです」
本当にありがとうございました。
そう言って、彼女は深々と頭を下げた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやぁ、それほどでも」
あまりに感謝の意を示すので、ついつい気分が良くなってしまった。
私はふんぞり返り、頭に手を当て照れてるポーズをとっておく。
「そこは謙遜した方がいいんじゃないか・・・・・・?」
「ふふふ、さんって面白いんですね」
「いやリッちゃん、ここはクーみたいにツッコむべきだよ」
女3人は、それ以降楽しそうに会話を始めた。
・・・・・・・え?何これ。私だけ仲間はずれ?
悲しい視線を送りつつ、私はひとりぽつんと隅っこで体育座りをする(なんで)。
そういえば、ずいぶんと女メンバー増えてきたな。最初は私しかいなかったのに。
「なんだか華が増えてきたわよね〜。もう色気がムンムンと」
「キュー」
「クロエは前進タイツもどきで身体のラインくっきりだし、ノーマなんてちょっと胸見えてるし。スカートとか捲ったら見えそうだし」
「キュキュー?」
「シャーリィはヒロインには必要不可欠なヒラヒラ(スカート?)要素持ってるし・・・・私って色気ねぇなおい」
「キュ〜」
「いいわよもう。私は色気より萌えを重視に生きていくわ!」
「その意気だキュー!」
「応援ありがとうだキュー!・・・・・・・・って、何!?」
ぼそぼそと悲しく独り言を言っていたつもりが、誰かと会話をしていることに気づく。
しかも語尾に「キュー」って。
思わずのって語尾に「キュー」と使ってしまったことに、少し恥じらいを感じた。
驚いて隣を見ると、そこには丸っこくてふわふわしてそうなラッコっぽい生物がいた。
初めて見る不思議な動物に、私は口が塞がらない。
私が何も言わないでいると、その動物は「キュー?」と言いながら小首を傾げた。
その仕草はもちろん、私を見つめるそのくりくりとした瞳がたまらない。
「・・・・・・・・・・・きみ、お名前は?」(超笑顔)
突然の癒しキャラに顔の緩みが直らないまま、私はプリティーラッコ(私命名)に名前を訊ねる。
「ピッポだキュ!」
「そうかそうかピッポくんというんだね?何か欲しいものはない?なんでも買ってあげるよ(ウィルの金で)」
まるでか弱い少女を攫う変質者みたいな台詞になってしまった。
私の変な口調に、ピッポは少々困惑気味の様子。
「お姉さんの名前はなんていうんだキュ?」
「お姉さんはね、っていうキュ」
「さん、さんはどうしてこんな所にいるキュ?」
「私?実は・・・・・・」
私はピッポに、何故こんな所で足止めを喰らっているか説明をする。
「困り果ててるのよ」
「困ってるキュ?」
「そう、困ってるキュ」
どうもこの口調が口調がうつってしまう。
「この先にモフモフ族がいた跡地があるキュ。その先に出口があるキュ」
「モフモフ・・・・・・?なんだかとっても素敵な名前ね。・・・・・・・・って、ほんと?」
「ホントだキュ!」
「じゃあ、出口まで送ってくれる?」
「もちろんだキュ!」
「キュキュキュー!」
そう言ってキュッポは勢いよく歩みだした。
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秘密の地下道の入口でワルターに会うイベントを忘れてました・・・。