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「―――ここ、どこよ」
誰もいない湖で、私はボソッと呟いた。
静かなこの場所で虚しく私の声が響き渡る。
つーか、本当にどこだ。
私はついさっきまでデュナミス孤児院の庭で、のほほんと昼寝をしていたっていうのに。
暖かな太陽と心地良い風で、私はすぅっと眠りにはいったはずだった。
なのに、目覚めたら見たこともない湖ってどうよ。
「んー・・・、とりあえず魔物の気配はなし・・・っと」
隣に置いてあった剣を握り、辺りを窺う。
どうやら近くに魔物はいないらしく、小鳥の鳴き声だけが聴こえてきた。
カイルやらジューダスやら。
とりあえず仲間の名前を呼ぶが、返事は返らず。
私はひとりその場に立ち尽くした。
「これって、まさかトリップ?」
辺りの雰囲気やらを見て、TOD2の世界とはどことなく違うことに気づく。
じゃあ一体ここは?
そう考えた結果、私の頭に「トリップ」という言葉が過ぎる。
まさか。
「・・・・・・・・・・・・・まさか、ねぇ?」
TODの世界へトリップして、その次にTOD2の世界へ。
更に他の世界にまでトリップしてしまったというのか。
計3回もトリップしてしまうなんて、どれだけ時空やら世界やらを飛び越えてしまうのか。
自分自身にちょっと感心。
まあ、TODとTOD2へはエルレインの力でだけど。
ということは、ここへ来たのもあのクソババァのせい・・・・・・・?
ガサッ
普段使わない頭をフル回転させ、そこまで思考を巡らせていると、突然若い男が現れた。
その青年は、金髪の女の子を担いでいる。
どこかで見たような気もするけど。
よかった。この世界の住人と会えた―――
「あのー・・・」
そう思って声をかけようとすると、青年は担いでいた金髪少女を突然湖の中へと投げ込んだ。
ん?投げ込んだ・・・・・・・・?
「・・・・・・・・・・ってオオイ!!何してんの!?」
「!・・・・・・・・(無視)」
「無視かよ!!」
私の大声に驚いた様子の青年だったが、暫く黙ってからプイっと顔を逸らす。
「ちょっと、そんなことしたらその子死んじゃうでしょ!堂々と人前で人殺しかお前!!」
「うるさい」
「うるさいって・・・・・・・・目の前でこんなことが起こったら、誰でもこう反応するだろうが!!」
「あのな・・・・・・・」
私の声が相当ウザイのか、青年は眉間に皺を寄らせて私を睨んだ。
へへん!そーんなキレイな顔で睨まれたって、怖くもなんともないわよ。
むしろ、そのグリーンの瞳に見つめられてドッキドキ(お前病院行け)。
そんなことを考えていると、また新たな人が現れた。
オレンジ色のピッチピチの服を着た、眼鏡をかけたオッサン。その服、恥ずかしくないですかと思わず言ってしまいそうになる。
その男性は目の前で起きていることに驚き、そしてグリーンの瞳の青年に向かって怒鳴った。
「何をしている!!水に沈めるとは・・・・・・死んでしまうぞ!」
うんうん、それが普通の反応だよね。
そう思って力強く頷いていると、「またか・・・」という表情をする青年。
「平気だ」
「んなアホな!!」「そんなわけないだろう!!」
私とオレンジのおっさんの声がハモったとき、水に沈められていた少女の髪が突如として青く光りだした。
私は不思議な光景に思わず釘付けになる。
それはオレンジのおっさんも同じだったようで、髪が青く光る少女を凝視した。
私達の視線を遮るように、グリーンの瞳の青年は目の前に立ちはだかる。
「あんまりジロジロ見るな」
いやいや、見るなってのは無理な話でしょう。
でも人の嫌がることをしちゃあいけません。
少し気になるものの、私は視線をずらした。
「これは・・・・・・輝く人そのものじゃないか」
そうオレンジのおっさんが口にした。
なんだ?「輝く人」??何そのまんまな呼び名は。
そう思いつつ会話の内容には興味はないので、私は周りの観察を始めた。
最初に人の観察を始めよう。
まずは最初に現れたグリーンの瞳の青年。
銀色のツンツンとした髪に、緑色の瞳、そして顔にはよくわからない模様が・・・・・刺青かなんか?
それにしても服装が面白い。
上半身は白いタイツのような、ピッチリとした服。
両肩には何かの部品みたいなのがついていて、胸にはレンズのようなものがくっついている。
不思議。
次に担がれて現れた少女。
最初は金髪だった長い髪も、今は青色に染まっている。
頭には・・・・・・・花?がいくつもついた髪飾り的なものが。
ここからじゃあ湖までが遠くてよく見えない。
最後にオレンジのおっさん。
こげ茶色の短髪に眼鏡。
上半身は青年と同じようなピッチリとしたオレンジ色のタイツ。
胸には赤いレンズのようなものがついていて、首からはなんとも言いがたいネックレス?が。
男性には無縁な感じのデザインだけど、あら不思議。なんだかおっさんに良く似合っていた。
やっぱ不思議。
結論。この世界の住人はピッチリタイツが好き。
次は辺りを―――そう思って空を見上げる。
空では相変わらず小鳥が気持ち良さそうに飛んでいて。ついでに人も飛んでいて。
「・・・・・・・・・って人ォ!?」
うっそ!?
あまりに非常識な光景に、私は思わず目をこすった。
そしてもう一度空を見上げるも、やっぱり空を飛ぶ人間がひとり。
背中には黒い翼がついていて、こっちを見ている。
その視線の先には、いまだに髪が青く光る少女が。
「見つけたぞメルネス・・・・・・!!」
そう叫ぶと、飛んでる人は少女を連れ去ろうとする。
メルネス・・・・・・?その少女の名前なんだろうか。
なんとなくこれって阻止しないといけないっぽい?
少女を連れ去ろうとする男の腕を掴み、とりあえず阻止しようとする。
「・・・・・・・・・・・何をする」
「いや〜、人攫いはよくないと思うんだよ」
「離せ!!」
「離すかっ!!いきなり女の子攫うなんて、どういう趣味してんのよ!!」
私の腕を引き離そうと、男は暴れる。
なんだかそれに反抗したくなって、意地でも離そうとしない私。
そんな光景を唖然と見ている男性軍。
おいお前ら、見てないで手伝ったらどうなんだ。
「手伝えよ!」と言おうとした瞬間、「ヒョオオォォオオ!」となにかが叫んだ。
「おお!ほんとにメルネスじゃ!!」
こう言葉を発したということは、人間なんだろう。
さっきのあの叫びに、なにか珍しい動物かなんかかと思ったので、内心驚いた。
声のした方へ振り返り、声の主を見る。
そこには上半身裸の眼帯男と、隣には狼のような生き物がいた。
半裸男の視線の先には、やっぱり金髪少女。
この子ってばこの世界のアイドル?そんでもって、こいつらこの子のファン?
そんなアホなことを考えていたのがいけなかったのかもしれない。
気づいたときには、少女は半裸と狼に連れ攫われていた。
ついでに、さっきまでいた空飛ぶ男もいなくなっている。
「ああ!アイドルが!!」
「(アイドル・・・?)君」
いつの間に!?
そう思って慌てて回りを見渡していると、突然肩を捕まれる。
オレンジのおっさんだ。
「君・・・・・・って私?」
「ああ。君と・・・・・お前」
そう言って、オレンジのおっさんは青年に視線を移す。
「お前らには俺と同行を願いたい」
「何でお前らと・・・・・・!」
「お前らには色々と聞きたいことがある。それに、お前ひとりで山賊のアジトへ行けるのか」
「く・・・・・・・っ」
「君は?」
「え?」
「いいか?」と問いかける瞳。
まあ、拒否権なんかないんだろうけど・・・・・・・。
「えーっと、はい。ついてきます」
「よし。それじゃあ行くぞ」
そうして、私は何が何だかよくわからないまま、オレンジのおっさんの後についていく事になった。
・・・・・・・・それにしても、このひとたちってどっかで見たことあるんだよなぁ。
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色々とうろ覚えな夢小説でごめんなさい。