大嫌い?それとも大好き?
「大好きですよ」
「私もです!!」
朝、まだ日が昇って間もない頃。
宿屋にこんな私の声が響いた。
「―――でね、ジェイがものすっごく可愛らしい笑顔で・・・あ、ジェイはいつでもすっごく可愛いんだけど」
「はいはい、わかったから。で、続きは〜?」
「すっごく可愛い笑顔を向けて、私に大好きですよ・・・って!!」
「うっわー、それは紛れも無い夢だね」
「そうだな」
昼食を食べにウィルの家に集まっている私達。
ハリエット特製のサンドウィッチを手にしながら、私は今朝見た夢の話をしていた。
私のちょうど目の前に座っているノーマは、シャーリィの作ったサンドウィッチを食べながら冷たく言い放つ。
隣に座っているセネルまでも、私達の話を聞いていたのか「うんうん」と頷いている。
「それはわかってるのよ!重大なのはジェイが私に『大好き』って言ったこと!」
「夢の中でだけどな」
「私はこれが正夢になることを願っているのです」
「あー、それは無理無理。ジェージェーが言うわけないじゃん」
「そうじゃのー」
むしゃむしゃサンドウィッチを食べ、みんなは「ありえない」の一言で終わらせてしまう。
「いや、もしかしたら今日こそ素直になるかもしれない」
「だから、ありえないだろ」
サンドウィッチを握り締め、私が力説するもみんな無視。
どんどん食事を進め、バスケットの中身はだんだんと減ってきていた。
「だいたい、この場にジェージェーがいても、あたしらと同じ反応だと思うよ〜?」
「―――僕がどうかしましたか?」
ノーマが私の方を指差しながらジェイの名を出したとき、玄関の扉が開く音がした。
それと同時にこっちへと向かってくるコツコツという足音も。
ジェイはゆっくりと部屋へと入ってきて、首を傾げている。
情報屋の仕事があると言った彼は、後でウィルの家に来る事になっていたのだ。
「実はね〜」
「?」
自分がいない間に自分の名が出ていたことが気に食わないのか、彼は眉間に皺を寄らせている。
そんな彼に、ノーマはさっきの話を丁寧に教えてあげていた。
「・・・・たとえ夢でも、そんなことを言った自分を恥ずかしく思いますね」
話を聞き終えた彼は、小さな溜息をつきながら呟いた。
開いていた席へとゆっくり座ると、私の方をじとっと見てくる。
ジェイの席は私の斜め前。
あいにく、私の両隣にはセネルとシャーリィがいたため、彼の隣にはなれなかった。
ちくしょう。
「それは恥ずかしいっ!っていう照れからくる言葉だと受け取っていいですか」
「どこをどうとったらそう思えるのか説明してほしいですよ」
「ジェイへの愛!そして萌えがそう思わせるのよ!!」
「生憎、あなたのような単細胞の考えは理解しかねます」
「嬉しい!」
「、ぜんっぜん褒めてもらってないよ!」
「いや・・・むしろ、ジェイの言葉は全部嬉しいんじゃないか?」
「うわぁ。単純な頭の作りで逆に尊敬しちゃいます!」
「しゃ、シャーリィ・・・?」(汗
ジェイが来たことによってテンションが上がる私。
それによって、食卓は一気に賑やかな(騒がしい)ものになる。
「さあさあ!遠慮せずとも良い。周りを気にせず申してみよ」
「何キャラじゃ・・・?」
「遠慮なんか・・・」
そこまで言って、ジェイは口を閉ざした。
いきなり黙り込むジェイを見て、みんな不思議そうに顔を見合わせる。
「ジェイー?」
「ジェージェー?」
「いきなり黙って、どがあしたんじゃ?」
「・・・・・・・・」
どんなに話しかけても、反応をみせないジェイ。
黙り込み、何かを考えているようだった。
「・・・キッスをしてみたら反応するかしら」
「もれなく蹴りをお見舞いされるだろうな」
ドキドキと、ジェイに近寄りつつ呟くと、いつものようにセネルが冷静なツッコミ。
蹴りをお見舞いされてもいいからと、じりじり彼に近寄る私をセネルとモーゼスが腕を掴み制止する。
「―――さん」
「はい、なんでしょう!」
じっと黙っていたジェイはふいに顔を上げ、私の方を振り返る。
彼に名を呼ばれ元気よく返事をすると、ジェイはふわっと微笑んだ。
ほ、ほほえ・・・っ
「大好きですよ」
にっこり微笑み、私に向かってこう言った。
「・・・・・・・・へっ!?」
「「「「「えっ」」」」」
滅多に向けられることのない笑顔。
ただでさえそれで鼻血もんなのに、彼は信じられない言葉を発した。
いきなりのことに私は間抜けな声をあげ、
みんなは驚きに目を見開いている。
そんな中、彼は少しも笑顔を崩さない。
「・・・・・・わんもあぷりーず・・・!」
「大好きですよ」
「誰が?」
「さんに決まってるじゃないですか」
笑顔で返すジェイ。
可愛らしい笑顔を私に向け、
「大好き」だと言う彼は、まるで・・・
そう。まるで・・・今朝見た夢とまったく同じもの。
・・・・・・・・・萌えええええええええええ!!!!!
「もう1回!」
「大好きです」
「もういっちょ!」
「大好きですよ」
「も、もう1回!」
「大好きですってば」
「萌ええええええええ!!!!!」
何度も何度も言ってもらい、もう萌えの最高潮。
ああ・・・もうこの世に未練はありませぬ・・・!!
「ジェージェー、ど〜ゆ〜風の吹き回し?」
「何の話ですか?」
「いきなりに好きだの連続!頭でも打った?」
「いたって正常ですよ」
「じゃあどうして・・・」
わけがわからないという表情のノーマをちらっと見てから、ジェイはサンドウィッチを手に取る。
「今日、何の日だか知ってます?」
「今日?」
「今日は・・・あっ!」
ジェイの問いかけにノーマは首を傾げ、シャーリィははっとしたようにカレンダーに目をやった。
それにつられ他のみんなもカレンダーに目を向ける。
「4月・・・1日」
「あ」
「わかりました?」
4月1日。
そう、今日は一年に一度の、嘘をついてもいい日。
「今日ぐらい、嘘でも好きだと言ってあげようと思いまして」
「ジェイさん、優しいですね」
「そ、そうか・・・?」
「大好ってのが嘘っていうことは、本当は・・・」
「・・・、可哀想じゃの」
「まあ、優しく見守っててやろう」
笑顔が見れて、その上大好きだと言われたことに悶えていた私には、セネル達のこんな会話と、
同情する視線には気づきもしなかったのだった。
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な、なんでしょうこれ。
昨日の夜に、4月1日だと気づいて急いで書いた夢。
とにかく、嘘でもジェイに「大好きだ」と言わせたかっただけなんでs(強制終了)